「比叡山宗教サミット」記念の集いに教皇もメッセージ

比叡山宗教サミット30周年記念「世界宗教者平和の祈りの集い」が8月3日と4日、京都市や比叡山延暦寺(滋賀県大津市)などで行われました。テーマは「今こそ平和のために協調を~分裂と憎悪を乗り越えて~」。2人の枢機卿やバチカン […]

比叡山宗教サミット30周年記念「世界宗教者平和の祈りの集い」が8月3日と4日、京都市や比叡山延暦寺(滋賀県大津市)などで行われました。テーマは「今こそ平和のために協調を~分裂と憎悪を乗り越えて~」。2人の枢機卿やバチカンの司教など18カ国から招かれた24人を含め、国内外の宗教者ら約2,000人が、テロや核兵器の脅威、そして貧困という世界的な課題に対して、弱者の側に立つ宗教者の役割を共に考え、祈りをささげました。教皇フランシスコもメッセージを送りました。主催は「日本宗教代表者会議」(写真は比叡山での祈りの式典/8月4日)

主なカトリック関係の参加者は以下のとおり:(写真は左からアユソ・ギクソット司教、ホン枢機卿、オナイエケン枢機卿)

○ ジョン・トン・ホン枢機卿(教皇フランシスコ名代/香港教区司教)
○ ジョン・オナイエケン枢機卿(ナイジェリア・アブジャ教区大司教)
○ ミゲル・アンヘル・アユソ・ギクソット司教(教皇庁諸宗教対話評議会次官)
○ 髙見三明大司教(日本カトリック司教協議会会長/長崎教区)
○ 大塚喜直司教(京都教区)
○ シルベストロ・ベハン神父(フランシスコ会諸宗教対話局長)
○ アルベルト・クワトルッチ氏(聖エジディオ共同体事務局長)
○ ロベルト・カタラーノ氏(フォコラーレ運動ローマ本部諸宗教対話事務局共同代表)

比叡山宗教サミットが開催されたのは1987年。その前年(86年)に聖ヨハネ・パウロ2世教皇は、イタリア・アッシジで「世界平和の祈りの集い」を催しました。比叡山宗教サミットはアッシジの精神を引き継ぎ、山田惠諦天台座主(当時)が呼び掛けて開かれたのです。以来毎年、平和の祈りの集いを行っています。

【教皇フランシスコもメッセージ】

初日、国立京都国際会館(京都市左京区)での開会式典で、トン枢機卿が教皇フランシスコのメッセージを読み上げました。教皇はメッセージで、暴力やテロリズム、地球への脅威などで傷つく現在の世界にあって、平和のため祈り、祈ることで互いに尊重し合い、連帯を育む希望を伝えました。(写真=トン枢機卿が教皇メッセージを代読する間、フランシスコの肖像が映し出されました)

また聖エジディオ共同体のクワトルッチ事務局長が、アシジから比叡山に至る「東西の祈り30年」を映像も使いながら説明しました。

基調講演は(1) 明石康氏(元国連事務次官)(2) ウィリアム・ベントレイ氏(世界宗教者平和会議<WCRP>事務総長)が行い、続くシンポジウムには教皇庁諸宗教対話評議会次官のアユソ・ギグソット司教も登壇。正教会、イスラム、仏教、ユダヤ教などの6人と共に、「テロと宗教~暴力的過激主義に宗教者はどう立ち向かうか~」をテーマに意見を述べ合いました。

夜は会場を東山の山頂にある将軍塚青龍殿に移し、災害や紛争、飢餓などで犠牲となった人々のために祈りをささげました。

【髙見大司教、核兵器廃絶を訴え】

2日目、(1) 核廃絶と原子力問題 (2) 貧困の追放と教育の普及―の2つの分科会が行われました。髙見大司教は (1) の分科会にパネリストとして出席。核兵器の全面的な撤廃を強く訴えました。(2)の分科会ではオナイエケン枢機卿が基調講演をしました。

4日午後からは、比叡山で「世界平和祈りの式典」が行われ、約1300人が宗教を超えた祈りをささげました。

平和の鐘が打ち鳴らされ、全員で黙とうをささげた後、森川宏映天台座主があいさつ。各国が「自国の利益のみを最優先する国家主義的な方向」に舵を切る傾向を憂慮。極東地域も核爆弾の脅威にさらされ、軍事衝突の危機が高まっているとの懸念を示しました。

そして壇上の代表者も会場の参加者も子どもたちも交えて互いに手をつなぎ、宗教を超えた平和への絆を誓いました。最後に「比叡山メッセージ2017」が立正佼成会の庭野日鑛会長により読み上げられました。

(8月7日、一部編集)

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