
2025年8月5日(火)、原爆投下80年に際して白浜満広島教区司教に送ったメッセージ(原文英語)。この日午後1時から、広島市内のエリザベト音楽大学セシリアホールにおいて「被爆80年 核廃絶のための協働をめざして」というテ […]
メッセージは同日午後4時から世界平和記念聖堂で行われた平和祈願ミサの中で駐日教皇大使フランシスコ・エスカランテ・モリーナ大司教によって代読された。
広島司教 アレキシオ白浜満様
広島と長崎への原爆投下80年を記念して集まられたすべてのかたがたに心からご挨拶申し上げます。とくにわたしは、生存する被爆者のかたがたに敬意と愛情の思いを表明いたします。彼らの喪失と苦しみの歴史は、より安全な世界を築き、平和の環境を推進するために、わたしたち皆への時宜を得た呼びかけです。
長い年月がたってなお、2つの都市は核兵器がもたらした深刻な恐怖をまざまざと思い起こさせ続けます。その街路、学校、家は、あの運命の1945年8月の――目に見えるものも霊的なものも含めた――傷跡を今もとどめています。この関連で、わたしは愛する前任者、教皇フランシスコがしばしば用いたことばを繰り返すように促されます。「戦争はつねに人類にとって敗北です」。
長崎の被爆を生き延びた永井隆博士はこう書いています。「『愛』の人は、すなわち『勇』の人であり、勇の人は武装しない」(『平和塔』中央出版社、1979年、9頁)。実際、真の平和は、勇気をもって武器を――とくに、筆舌に尽くしがたい大惨事を引き起こす力をもつ武器を降ろすことを要求します。核兵器は、わたしたちの共通の人間性を傷つけるとともに、被造界の尊厳をも裏切ります。わたしたちはこの被造界の調和を守るように招かれています。
世界的な緊張と紛争が激化する現代において、広島と長崎は「記憶の象徴」(教皇フランシスコ「アレキシオ白浜満広島司教への手紙(2023年5月19日)」)として立ち上がります。それは相互確証破壊に基づく安全保障の幻想を拒否するようにわたしたちを促します。むしろわたしたちは、正義と兄弟愛と共通善に根ざしたグローバルな倫理を築かなければなりません。
それゆえ、わたしは、この荘厳な記念日が全人類家族のための永続的な平和――「武器のない平和、武器を取り除く平和」(「最初の祝福(2025年5月8日)」)の追求を新たにすることへの国際社会への呼びかけとして役立つことを祈ります。
この日を記念するすべてのかたがたに神の豊かな祝福を心から祈ります。
バチカンにて、2025年7月14日
