日本到着のあいさつ

1981年2月23日15時30分
東京カテドラル聖マリア大聖堂正面玄関にて

 ついに日本に来ることができて、とてもうれしく思います。神の栄光が、その自然を通じて示されるこの美しい国に来て、心は喜びでいっぱいです。そして、長い世紀にわたってすばらしい文化を生み出した日本のかたがたに、今お会いできますのは大きな喜びです。

 わたしは平和の巡礼者として、皆さんへの友情と尊敬のメッセージを持ってこの日本に来ました。わたしの願いは、日本の皆さん一人一人にわたしの心からなる尊敬と愛をお伝えすることです。

 天正の少年使節以来、たくさんの日本人が歴代のローマ教皇やこのわたしを訪ねてくださいました。今、感謝を込めてその訪問のお返しをしたいと思います。近年ヴァチカンに来てくださった日本人の数は、数えきれません。そのかたがたは、日本の宗教について、また芸術などについて心あたたまるお話をしてくださいました。ここにあらためてお礼申し上げます。

 わたしは、この気高い国の人々が幸福で平和であるよう願ってやみません。まず天皇陛下とそのご家族に心からごあいさつ申しあげます。また、わたしの日本訪問を容易にしてくださった政府のかたがたのご好意に深く感謝いたします。

 日本の諸宗教のかたがたにもごあいさついたします。すでに多くのかたがたとはヴァチカンでお会いしていますので、友人のような親しみを覚えます。

 わたしは日本でいろいろなかたがたとお会いできると思いますが、日本の若者たちや、人間の尊厳を守ることこそ進歩の尺度、平和の保障であると信じ、よりよい世界を築こうと努力している人々に、心からのあいさつを贈ります。

 ここで日本のカトリック教会に対して、ひとこと述べさせてください。わたしを招待してくださった司教がたと、わたしの訪問をまごころ込めて準備してくださった信者の皆さんに、心から感謝いたします。わたしは、皆さんが日本の社会に大きく尽くしているのを見て、非常にうれしく思います。

 皆さんは、日本のよき市民であるばかりでなく、カトリック教会のたいせつな一員でもあります。わたしは、数代にわたって善業と殉教の証で示された皆さんの深い信仰に心から敬意を示します。

 先日、マニラで、福者にあげられた殉教者たちの中には、多くの日本人も含まれています。この福者、友永とその伴侶たちは日本に誉れをもたらすとともに、全世界に高らかに宣言されました。私は日本のカトリック教会のために、聖パウロの言葉を借りて “人間の知恵では、はかり知ることができない神の平安が、あなたがたの心と思いをキリスト・イエズスにあってお守りくださるよう”(フィリッポ4・7)心から神に祈ります。

 今日、東京に始まるわたしの日本訪問の旅は広島、長崎へとつづきますが、わたしの大きな望みは、わたしの出会うすべての人々が兄弟として、また友としてのわたしの愛と平和の気持ちをくみとっていただきたいということです。

 神の特別な祝福が日本の上に豊かにありますように。

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