聖職者との集い

1981年2月23日15時50分
東京カテドラル聖マリア大聖堂

司祭・男子修道者へのメッセージ

 キリストに貞潔、清貧、従順によって、より近く従おうという高い理想に向かって努力しておられる司祭、男子修道者の皆さんにわたしの考えていることを申し上げたいと思います。日本におられる修道女のかたがたには、後日もうけられている機会にお話しすることにさせていただきます。

敬愛する皆さん、あなたがたのキリストとの一致は洗礼において始まり、修道者としての奉献によって強められたのですが、それはまた、教会との特別な一致をも含んでいます。あなたがたは教会の生命の神秘により完全にあずかり、また、世界に対して教会が持っている使命にさらに深くかかわっておられるのです。修道生活のこの教会的な次元を心にとめながら、私の最初の回勅(レデンプトール・ホミニス)に書いたことを、繰り返して申し上げます。「すべての時代、そして特に現代、教会の基本的な機能は、神の秘義に人の目を向け、全人類がそれを意識し、体験するようにすることであり、人々がイエズス・キリストにおいてなしとげられた贖いの深さに親しくふれるのを助けることです」

 皆さんのキリストに奉献された生活は、福音的勧告を通して、現代の人々の頭と心を、すべての人の創造主であり救い主である、聖なるかたに向けることができるのです。喜びのうちに真理を伝える者であることによって、また苦しんでいる人々の寛大な奉仕者であることによって、そしてまた主に対する深い信頼に生かされた祈りの人であることによって、あなたがたは現代の人々のまなざしを高めておられるのです。あなたがたは、その人々の目を希望に向かって上げているのです。皆さんは現代の人々が、「高い所を歩くこと」(ハバクック3・19)が、そして神との愛に満ちた一致と交わりに入ることが、ほんとうに可能であるということを見ることができるように助けておられるのです。

 ここにおられる教区ならびに修道会の司祭のかたがたに特別に申し上げたいことがあります。司祭の務めの中心は、わたしたちの主イエズス・キリストの福音を述べ伝えることであります。この述べ伝えは聖体祭儀によってその頂点に、その目的に達するものです。皆さんは教会のこの重大な使命に携わっておられるので、最近の回勅でわたしが強調した一つの点に、特別な注意を払っていただくようお願いいたします。

  「教会がその生命をまともに生きるのは、創造主であり、贖い主であるかたの最も驚くべき属性である哀れみを信じ、それを述べ伝えるときである」

 あなたがたのすべての言葉と行ないが、哀れみに富むわたしたちの神に証を立てるものとなるようにしてください。皆さんの説教が、贖い主の哀れみに対する希望を呼び起こすものであるように。許しの秘跡を行なうあなたがたのやり方が、一人一人の人に独特な方法で罪よりも強い神の哀れみ深い愛を体験させるものとなりますように。またあなたがた一人一人の親切と司牧者としての愛があなたがたに出会うすべての人々にとって、いつも、許そうとしておられる哀れみ深い父を見いだす助けとなりますように。

 私の兄弟である司祭の皆さん、いつもお互いに、そしてまた、あなたがたの司教と一致していてください。「一致、すべての善の中で最も偉大なもの、それをあなたがたの関心事にしなさい」

 アンチオキアのイグナチオはポリカルポにあててこのように書きましたが、そのとおりです。司祭間の一致は、わたしたちの司祭としての生活と奉仕にとって、どうでもよいようなものではありません。事実、それは、福音を説くことを構成する部分です。それはまた、聖なる三位一体との一致をもたらし、すべての人々の間に兄弟愛をはぐくもうとするわたしたちの職務の目的そのものを象徴するものです。最後の晩さんのとき、一致に対する熱望がいかにイエズスを次の祈りに駆り立てたかを思い起こしてください。

「どうか信じるすべての人を一つにしてください。父よ、あなたがわたしにおり、わたしがあなたにいるように、彼らも、わたしたちにいるようにしてください。そうすれば、この世は、あなたがわたしをお遣わしになったことを信じるでしょう」(ヨハネ17・21)。

 そのようなわけで、聖パウロの言葉で皆さんにお願いします。

 「互いに兄弟愛をもって心から愛しなさい」(ロマ12・10)。

 たくさんの司牧的務めで、お忙しいでしょうが、ときにはともに祈り、もてなし合い、主の仕事において互いに励まし合う機会を見つけてください。あなたがたの兄弟の中で孤独、病気、人生のさまざまな重荷で苦しんでいるかたがたには、特別な心づかいを持ってください。わたしたちの主イエズス・キリストにおいて、見えるものとされた神の哀れみ深い愛を告げ知らせるこのわたしたちに、ゆだねられた偉大な役割において、あなたがたの兄弟を「真理の協力者」(ヨハネ第三の手紙・8)として支えてください。

 ここにおられるすべての司祭、修道者のかたがたにわたしの愛と尊敬を表わすにあたって、宣教師のかたがたが日本の教会にされた貢献に対して、特に感謝の言葉をつけ加えたいと思います。

 あなたがたの先輩たちの骨身惜しまぬ働きによって教会は、この国に根づくようになりました。そして、あなたがたご自身の忠実な働きは、引きつづき福音のための効果的な奉仕となって実を結んでいます。全教会があなたがたと、全世界で働いておられる宣教師のかたがたの召命を非常にたいせつにしていることを忘れないでください。きょう、イエズス・キリストに対するあなたがたの信頼と、その聖なるみ名の栄光に対するあなたがたの献身を新たにしてください。

 そして、このカテドラルに集まっておられるすべてのかたがたに申し上げます。

 「わたしたちの父である神と、主イエズス・キリストからの恵みと平和が、あなたがたにありますように」(Iコリント1・3)。

※このテキストは当時の広報委員会が発表したままのもので、現在の用語づかいとは異なるものもあります。ご了承ください。

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