記者団へのあいさつ

1981年2月25日11時30分
広島平和記念館講堂で

ジャーナリストの皆様へ

 極東への司牧の旅も終りに近づいた今、ここ広島で親しい友としての挨拶を皆様にお送りできることは、私の大きな喜びであります。何にもまして、今回の旅行を通して示されました皆様の忍耐、興味そして寛大さに対しまして、感謝を申し上げます。特に、私が予定の時間におくれたとき、よく辛抱してくださいました。皆様、ならびに皆様が代表しておられる関係諸機関に対しまして、心よりのお礼を申し上げます。

 私は、この機会をお借りして、皆様のジャーナリストとしての日々のお仕事を支持していることを表明し、崇高な理想を持ち続けられるようお願いいたします。報道において、センセーショナリズムを求めず、世論を支配せず、人びとの態度決定をあやつることなく、権力のための権力を求めず、むしろ、皆様や皆様のお子達、さらにはすべての子ども達が、人間としての尊厳をもって生き、希望の何たるかを体験するような世界共同体の建設を目指し、一人ひとりの存在を大切にする愛と真実を求めなけれぼなりません。

 皆様は現代社会の中ではまさに大きく計り知れない力を手中ししています。しかし、この力は民衆に属するものであることを忘れてはなりません。神から造られたすべての物と同様、この力は普遍的な目的を持ち、あらゆる人の善に役立つものです。したがって、皆様は民衆の力の管理者であり、かれらのしあわせへの奉仕者です。それは実に偉大で輝やかしい任務だと言えます。しかし同時に、正しい姿勢と、絶え間ない献身、民衆に対して責任を明らかにすることが求められています。私は、皆様が民衆の幸福のため、社会の改善のため、人類家族の一致促進のため、献身的努力を続けられますようお願いいたします。パウロ六世が1971年3月25日世界広報の日のメッセージにおいて言われた、「もし、コミュニケーションが調和そのものではないとしても、調和という望ましい目的への道になり得る」ということばにしたがって、皆様のことば、映像、番組が、天にいます神を共通の父としていただく全人類に大きな調和、一致をもたらしますように。

 私と旅を共にされたジャーナリストの皆様、長い旅でした。おそらく皆様の一日は長く、休む時問は短かかったことでしょう。記者、カメラマン、ラジオ、テレビジョン関係の皆様、私は、皆様に「ありがとうございました。またお会いしましょう。」とだけ申しあげます。  

 神の祝福と加護が皆様と共にありますように。また皆様が世界で実現しようとしている愛と調和と喜びのニュースが皆様のご家族の中にもありますように。

 再度、ありがとうございました、と申し述べて私の皆様への挨拶を終らせていただきます。

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