教皇フランシスコ、自発教令の形式による使徒的書簡『スピリトゥス・ドミニ』(Spiritus Domini)

 

教皇フランシスコ
自発教令の形式による使徒的書簡
『スピリトゥス・ドミニ』(Spiritus Domini
朗読奉仕者と祭壇奉仕者の奉仕職に女性を加えることに関する
「教会法」第230条第1項の修正


 教会のいのちと使命の恒久的な源である主イエスの霊は、教会の建設と福音の告知のために、さまざまな方法で貢献できるようにするたまものを、神の民の一人ひとりに分け与えます。これらのカリスマは、教会によって公に認められ、制定されていることから奉仕職と呼ばれ、永続するかたちで共同体とその使命に役立てることができます。
 ある場合に、こうした奉仕職の貢献は、ある特定の秘跡、すなわち聖なる叙階に由来しています。その他の任務は、歴史の中で教会において制定され、洗礼による祭司職を特別なかたちで行使することによって、そして司教、司祭、助祭の特別な奉仕職を助けるために、個々の信徒に秘跡ではない典礼を通して委ねられてきました。
 尊い伝統に従い、教皇聖パウロ6世が自発教令『ミニステリア・クェダム(Ministeria quaedam)』(1972年8月17日)をもって規定した「信徒の奉仕職」は、たとえそのような奉仕職が他のふさわしい男性信者に授与されるとしても、聖なる叙階の秘跡を受ける準備として叙階に先んじて授けられてきました。
 シノドス(世界代表司教会議)のいくつかの会議は、教会共同体に課せられた福音化の役割を適切に支えながら、前述したカリスマの本性と時代の要求に応えるために、この主題を教義学的に深める必要性を強調しました。
 このような提言が受け入れられて、さらに近年、教義学的な進展も見られるようになり、教会によって制定された特定の奉仕職が、洗礼を受けているという共通の条件と洗礼の秘跡で受けた王的な祭司職に基づくものであるということが強調されています。これらの奉仕職は、叙階の秘跡で受けた位階的奉仕職とは本質的に区別されます。そのうえ、ラテン教会における確固たる実践はまた、これらの信徒の奉仕職が洗礼の秘跡に基づいており、「教会法」第230条第2項 によってすでに暗に規定されていることに従い、男性であれ女性であれ、すべてのふさわしい信者に委ねられ得ることを確認しました。
 したがって、わたしは所轄の各省の意見を聴いたうえで、「教会法」第230条第1項を修正することを決めました。それゆえ、今後、「教会法」第230条第1項を以下の文言とすることを命じます。
 「信徒は、司教協議会が決定した年齢に達しかつ適性を有する場合、規定された典礼儀式によって、朗読奉仕者及び祭壇奉仕者の奉仕職に恒常的に任命されることができる。ただし、その奉仕職の授与は、その者に生活の維持又は報酬を教会から受ける権利を与えるものではない。」
 わたしはまた、この条文に言及する法の効力を有する他の規定の修正を命じます。
 たとえこの規定に反することがあったとしても、またそれがたとえ特別な言及に値するものであったとしても、わたしは、この自発教令の形式による使徒的書簡の規定が確固たる永続的な効力を持つことを命じ、またオッセルバトーレ・ロマーノ紙の発表をもって公布され、同日に発効し、そしてその後『使徒座官報』に掲載されることによって公布されることを命じます。

教皇在位第8年、2021年1月10日 主の洗礼の祝日
ローマ、聖ペトロ大聖堂にて
フランシスコ

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