「教皇文書」の種類について

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「教皇文書」にはどんな種類があるの?

ローマ教皇や教皇の委任を受けた代理者が直接表明する公式な見解を、一般に「教皇文書」と呼びます。「教皇文書」には、その内容や対象による区分がありますが、その区分は長い歴史の中で変遷を重ねています。ここでは日本語訳のある「教皇文書」をいくつか挙げて、それぞれを簡単に解説します(主に『新カトリック大事典』=研究社=を参考にしています)。

【回勅】(ラテン語 “Litterae encyclicae”)

教皇が信者の信仰生活を指導することなどを目的に、通常は全カトリック教会にあてて送る書簡です。重要度の高い教書で、多くの場合は本文冒頭の数語が文書のタイトルになります。最近の教皇には以下のような回勅があります。


【教皇自発教令】( “Motu Proprio”)

教皇がまったく任意で発布する教令で、使徒的書簡(別項参照)の形式で発布されます。比較的重要な問題を扱い、ほとんどは法的な性格を有します。例として以下のようなものがあります。


【大勅書】( “bulla”)

もっとも荘厳な書式の書簡で、聖年の公布や列聖、教区新設、司教任命など重要事項の発表などに用いられます。なお小勅書という形式もあります。以下に挙げる例は教皇フランシスコによるものです。


【使徒的勧告】( “Adhortatio apostolica”)

教皇が聖職者、修道者、司教などに向けて、霊的生活のある面で進歩するよう勇気づけるために送る勧告です。法的文書ではありません。第二バチカン公会議以後は、世界代表司教会議(シノドス)後に、その最終報告の内容を受けた使徒的勧告が公布されることが慣例となっています。以下のものなどがあります:


【使徒的書簡】( “Litterae apostolicae”)

教皇の公的な書簡。教会の要職にある人や特定の団体にあてたあいさつが多いのですが、教皇フランシスコが「いつくしみの特別聖年」を閉じるにあたって発表した「あわれみあるかたと、あわれな女」(2016年11月20日付)のように、全教会にあてたものもあります。ヨハネ・パウロ2世は、そうした使徒的書簡を数多く公布していますが(『主の日』『女性の尊厳と使命』など)、ベネディクト16世にはその例がありません。

【使徒憲章】( “constitutio apostolica”)

教皇が最高権威者として自分の名前で発布する公文書の一つです。自発教令(別項参照)は書簡形式ですが、使徒憲章は荘厳な様式で発布されます。内容も教理上や教会規律上などの特別に重大な問題を取り扱い、全教会もしくはその大部分を適応対象としています。
聖ヨハネ・パウロ二世が教皇の空位と教皇選挙に関して発布した『ウニヴェルジ・ドミニチ・グレジス』(1996年2月22日)や、カトリック新教会法典公布の際の『サクレ・ディシプリーネ・レージェス』、同じく『カトリック教会のカテキズム』公布の際の『ゆだねられた信仰の遺産』などがあります。

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